レビューの並び替え:
一覧へ
  • 10件目(全855件)
カラフル

著者: 森絵都

出版社:文藝春秋 (2007/08)

評価: 4.0

読了日: 2018/04/01

投稿日: 2018/04/16

気がつくと、ぼくは小林真だった。
「おめでとうございます、抽選にあたりました!」
ちゃらい天使が現れて言うことには、大きなあやまちを犯して死んだ罪な魂に再挑戦のチャンスを与える
そのための修行とは、たった今死んだ人の体を借りて、その家族の一員として一定期間過ごすこと。
自分の罪を思い出し、あやまちの大きさに気づくこと。
こうしてぼくの「ホームステイ」が始まった。

YAです。中学生向けに書かれた小説ですが、大ヒット作です。
森絵都さんの代表作でもありアニメ映画にもなりました。
当時主人公と同じ年頃の娘に買って読ませた本で。
私はさわりだけちょっと読んで、放置。
(実際、子供向けの小説なんです。大人が読むもんではない)
今回「みかづき」を読んだことをきっかけに読んでみました。

メッセージはシンプルです。
思春期の少年が主人公ですので、世界は中学生にとっての世界として描かれます。
大人が読めば人生があまりに薄く、悩みの深さの次元が違いすぎてこどもってこんなにバカ?って思ってしまうかもしれません。
いや、本当にバカですよ。中学生ってやつは。
しかし大人にとってはほんの些細なことが子供の心をどれだけ深くえぐることになるか。
鈍くなって忘れていることを思い出させてもらいました。
中二病という言葉が示すように、人生中もっとも危うい14~15歳の少年たちのガラスのハートに森さんは寄り添えるのですね。

そして子供に対しては、こう語りかけます。
「すべてが遅すぎるわけじゃない」

自分の狭い世界からみた光景が世界の全容ではないのだ。
人も世界も色とりどりの色彩を持っている。
あなたの目に映っている色が何色であったとしてもそれには別の側面が必ずあるのだ。


以上は大人としては経験上当たり前のこととして「学習」済みなのです。
なので、この作品で心底驚き感動したという大人がいたら、きっとこれまでの人生が幸せな、もしくは純粋な方でしょう。


人生はいわば「ホームステイ」です。
『せいぜい数十年の人生』
『与えられたステイさきで、誰もが好きに過ごせばいいのです。ただし自分からリタイアはできませんが』

この考え方。とってもいいです!

しかも、これはシェイクスピアの、そしてヘッセの言っていることと基本的には一緒ではないですか?!
お子様小説と思いきや、やはり森絵都は只者ではない。
ユーモアと読ませる展開に紛れさせて人生の秘訣を語るとは!

ところで、この話。
星新一の「天使考」を思ってにやっとしてしまいました。
日本人的にはこれが自然だよね~って感じ。
背中に白い羽をはやし白い布を纏った細身の美形の男性の姿の天使。父なる神。
なのに前提が「輪廻転生」なんだから(笑)
メタ宗教。こういう立ち位置って好きです。


    コメント

    月うさぎさん、少しお久しぶりです。
    お元気でしたか???
    私は今月の課題図書をちょうど読み終えたところで、あまりの凄さに慄いています。この出会ってしまった感・・・!

    表紙がとってもカラフルだなーと思いながら書店で見ていました。まさか、このようなストーリーだったなんて!
    天使の様子は、たしかに「天使考」を思いだしました。

    2018/04/16 by あすか

    昔読んだことがあるような気がします。読みやすくて、いい話だったような。(違いました。「ラン」でした。表紙が似てた^^;)

    >人生はいわば「ホームステイ」です。
    『せいぜい数十年の人生』
    『与えられたステイさきで、誰もが好きに過ごせばいいのです。ただし自分からリタイアはできませんが』

    まさに輪廻からみた人生の捉え方ですね。^^
    ワタシは輪廻は納得してますが、思春期に読むと感じ方もちがうでしょうね。

    2018/04/17 by バカボン

    あすかさん、お久しぶりです。
    どうも時々すれ違ってた?みたいですね。
    森絵都の大人向けの「みかづき」を読んだノリで「カラフル」も読んでみました。
    彼女はメッセージを伝えるために小説を書くタイプの作家なのかなと思いました。
    本作はかなりくだけた言葉遣いで書かれ、テンポもよく、ボリューム的にもすぐに読めてしまいますが、
    心がくじけそうなとき、自分で手いっぱいでどうしようもないとき、
    こんな気づきがあればどこか救われるのではないかしら。

    「春にしてきみを離れ」をお読みになりましたか!
    アガサ・クリスティの作家としての力量に驚かされますね。
    そして人間というものの不思議さ、複雑さ、そして悲しくも愚かなこと。
    私ったらとっくにレビュー書いている気になっていたのに、登録もしていない!
    なんとっ( ̄▽ ̄;)!!ガーン

    あ。でも、あの小説って、あとから来るから…。
    きっと読後の勢いでレビューしたら、ラストが不満ですっ!女ってのは、まったく!
    ってなことを書きまくってしまいそう。
    再読の際はクールに読んでみたいと思いますです。はい。

    2018/04/17 by 月うさぎ

    バカボンさん
    >まさに輪廻からみた人生の捉え方ですね。^^
    そうなんです。それを難しい言葉や思想としてのアプローチを一切使わずに自然に受け止められる形に料理してくれています。
    例えば解脱はこの作品内では高次の魂の救済としては位置づけられていません。
    もっと単純に、命のサイクルから抹消されるのは、罪を犯した魂という設定。

    下界に生まれることが苦であり悲しみであり病や死を迎えることである。
    とする仏教の出発点は若き中学生には重すぎますから。
    なんだけれど、輪廻はあり、なんですよね。
    日本人、輪廻。大好きですよね。

    2018/04/17 by 月うさぎ

    なかなかゆっくりコメント書けずにいましたが、月うさぎさんが「みかづき」「カラフル」とずっと気になっていた本を立て続けに読まれていて、密かにキャーとなっていました。「みかづき」の方が気になっていたのですが、「カラフル」から読もうかなと思ってきました。

    >与えられたステイさきで、誰もが好きに過ごせばいいのです。

    特にこのフレーズ!いいですね。とてもいいです。

    そしてそして、今年の課題図書「春にして君を離れ」ですね!!ほんと、後からジワジワ来ますよね。思い出すだけでもゾワゾワします。。。あすかさんのレビュー楽しみ♪月うさぎさんもレビューしてください^^

    2018/04/17 by chao

    chaoさん
    >与えられたステイさきで、誰もが好きに過ごせばいいのです。
    >特にこのフレーズ!いいですね。とてもいいです。
    いいでしょう!私もこれがこの本で一番好きな文なんです。

    chaoさんのお嬢さんが読むにはまだまだ早すぎるでしょうけれど、
    こんな本があるよ、と親が知っておくのも悪くないかも、です。

    「春にして君を離れ」ね。私ったらchaoさんのレビューにコメントしただけで終わってたんですね。
    この機に再読してみたいです。あれは名作ですよね。
    メアリ・ウェストマコット (Mary Westmacott) 名義で書かれたの小説は6作品あるそうです。
    クリスティの全小説読破の目標は道半ば未満…。

    2018/04/17 by 月うさぎ

    月うさぎさんのレビューを見て、即図書館で借りました。
    「子供向けの小説なんです。大人が読むもんではない」
    「大人としては経験上当たり前のこととして「学習」済みなのです。
    なので、この作品で心底驚き感動したという大人がいたら、きっとこれまでの人生が幸せな、もしくは純粋な方でしょう。」
    返す言葉もありません。もういい歳ですが、私は胸を打たれました。
    自分の世界に閉じこもる事、人を自分の中から締め出す事。それがいかにリスキーか、ようやく解ったのです。
    引きこもれば、一旦は楽になります。怠慢ですし、臆病です。
    でも、自分一人の価値観に縛られ、追い詰められます。どんどん視野が狭くなり、思考する気力が失われ、ますます自分に失望します。
    人と関わらなければならない、ではなく、人と関わり、多様な価値観や考え方を知る事で、結果的に自分の助けになるのだと思いました。
    ものすごい遠回りをしましたが、今が受け取れる時期だったのだと思います。図書館本でしたが、即購入しました。

    2018/04/30 by チルカル

    チルカルさん
    ごめんなさい。私がスレまくっているものですから、ヘンなことを書いたかも。
    この本を素直に受け取れるためには心が子供のようにピュアな方でないとならないのではないかと感じたんです。
    >自分一人の価値観に縛られ、追い詰められます。
    大学に行く前の私はまさにそんな状態でした。
    気づきのきっかけは人それぞれですが、チルカルさんのこの読書のタイミングがぴったりだったなら、
    私もとっても嬉しいですし、作家も本も大喜びでしょう。
    レビューしてよかった。
    チルカルさん。レビューを読んでくださってありがとう。
    本も読んでくださって本当にありがとうございました。

    2018/05/01 by 月うさぎ

    月うさぎさんがレビューしてくださるその先に、その本で励まされる人が大勢いるのです。その事が素晴らしいと思うのです。お忙しいでしょうが、どうか今後も続けていただきたいと心から願っています。こちらこそ、ありがとうございました!

    2018/05/02 by チルカル

    チルカルさん
    嬉しくて泣けてきそうです。(´Д⊂グスン
    私が本を読むのは、新しい世界、新しい自分に出会うためですし、
    レビューを書くのはだれかとつながりたいからです。
    チルカルさんの言葉に大いに励まされました。
    これからもどうぞ仲良くしてくださいね。
    そして気軽にコメント書き込んでください。
    読書の友はソウルメイトですもの♪

    2018/05/02 by 月うさぎ

    月うさぎさんの読書レビュー 「カラフル」 | 読書ログ

    プロフィール
    ニックネーム:月うさぎ
    本棚登録件数: 886 冊
    レビュー件数: 863 件

    自己紹介:
    読書ログって素敵ですね。新しい本との出会いも嬉しいし、コメントを通してのメンバーの皆さんとの会話も楽しい。
    唯一つ困るのは…積読本が増えること。
    以前読んだ本の再読もしたくなって…。
    どうぞ仲良くしてください。

    月うさぎさんの本棚
    マイ本棚をブログに設置
    投稿月別
    すべて
    2018年10月 (1)
    2018年08月 (4)
    2018年05月 (2)
    2018年04月 (3)
    2018年03月 (2)
    2018年02月 (2)
    2017年12月 (1)
    2017年11月 (4)
    2017年10月 (3)
    2017年09月 (5)
    絞り込み
    絞り込みを解除: すべての本を表示
    ステータス:
    読み終わった本   読みたい本  
    読んでいる本  
    本の所有:
    持っていない   持っている  
    月うさぎさんのタグ:
    絵本   外国文学   ユーモア   動物   ミステリー   ロングセラー   短篇集   アート   笑える   児童文学   SF   映画      名作   青春   メッセージ   YA(ジュブナイル)   少女漫画   人生   シリーズ   音楽   ノンフィクション   恋愛小説   エッセイ   ファンタジー   コメディー   マンガ   童話   イラスト   旅行   シュール   写真集      自然   戦争   ポアロ   プレゼント   こどもの本   癒し系   ナンセンス   ドラマ化   社会問題   歴史   泣ける   キャラクター   ホラー   暇つぶし   文京区   おいしい   哲学   ビートルズ   自己啓発   うさぎ   心理   経済   戯曲   大人の童話   子育て   ペンギン      教育   古典   対談   恐怖   クリスマス   昭和   エスピオナージ   ルポ   ラブコメ   スリリング   日本語   専門書   科学   詩集   パロディー   宗教   教養      語学   不思議   コメディ   初恋   ハードボイルド   生活   家族   自己再生   ガイドブック   ラブストーリー   スリラー   英語   ブログ本   スポーツ   冒険   料理本   画集   社会風刺   BL系   民話   医療   釣り   江戸   パロディ   ギャグ   時代小説   政治   友情   鉄道   テニス      環境問題   ファッション   ムック   読書   仕事   北欧      北村さゆり   お気に入り