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コロンブスが来てから―先住民の歴史と未来 (朝日選書)

著者: トーマス・R. バージャー

評価: 5.0

読了日: 2018/04/13

投稿日: 2018/04/16


かつて学校で「1492年にコロンブスがアメリカ大陸を発見した」と教えられ、その言葉に今までたいした疑問を持っていませんでした。

だが、よくよく考えてみれば「16世紀にポルトガル人が日本を発見」という表現を聞けば笑ってしまうだろうし、ましてや「種子島に上陸した彼らは、その島をポルトガル領と宣言した」と言われれば、怒りたくもなってくるだろう。

それなのに、なぜ「コロンブスのアメリカ発見」という言葉に抵抗感がなかったかを、あらためて考えてみるとアメリカの先住民は非文化的で、非常に数が少なかったろうと漠然と思っていたからだ。

かつて親しんだ西部劇映画の影響も小さくはないと思う。こうした考えがまったくの偏見であるということを、この「コロンブスが来てから」が教えてくれたんですね。

著者のトーマス・R・バージャーは、カナダ在住の弁護士。この本にはヨーロッパ人がアメリカにやって来てから、いかにして先住民の土地を奪い征服してきたかの歴史が、生々しく語られている。

この本を読んで、私にとっての大きな驚きが二つあります。一つは、先住民たちの数の多さです。コロンブス上陸当時の世界の人口は、約4億人。そのうちの8千万人が南北アメリカに住んでいたというのです。そして、半世紀のうちに7千万人が死んだと言われています。

その死の多くは、ヨーロッパから運ばれてきた病原菌の疾病によるものですが、意図的に伝染させたものではないから、これでヨーロッパ人を責めるわけにはいきません。

しかし、この本に記録された、ヨーロッパ人が先住民にしかけた残酷極まりない大虐殺の数々の実例には、戦慄を覚えないわけにはいきません。

古くから住みつき、独自の生活習慣と文化を持った住民たちを、荒廃した狭い居留地に追い立てて、その土地に侵略者が自分たちの国家を造りあげたのは、いかなる権利に基づくものであるのかと著者は鋭く問いかけるのです。

先住民とヨーロッパ人の争いは、遠い過去の話だと思っていましたが、今もアメリカで進行しつつある問題だということが、私にとってはもう一つの驚きでした。それは、今もカナダでアメリカで、先住民の権利を要求する運動が続けられているそうです。

国連で最大の力を持っているアメリカが、他国の領土侵犯にことさら厳しく対処しているように見えるのは、建国の際の「原罪」を償う潜在意識の投影なのだろうか?。

それとも、ヴェトナム戦争や湾岸戦争などの正義は「異教徒追放は神の御心」という500数十年前の正義の延長戦上にあるのだろうか?。



    dreamerさんの読書レビュー 「コロンブスが来てから―先住民の歴史と未来 (朝日選書)」 | 読書ログ

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