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ボーン・マン (文春文庫)

著者: ジョージ・C. チェスブロ

評価: 4.0

読了日: 2017/05/30

投稿日: 2018/02/10


ジョージ・C・チェスブロの「ボーン・マン」は、一風変わった小説だ。

まず、記憶を喪失した男が主人公。公園で彼が突然目覚める場面から、この奇妙で複雑な物語の幕が開きます。

彼は、どういうわけか人間の大腿骨をしっかり握っているので"ボーン"と呼ばれるが、自分の名前さえわからないのです。

その"ボーン"が、連続殺人事件の容疑者にされるというのが、次の発端です。自分が果たして殺人者なのかどうか、記憶が全くないのでそれすらもわからず、警察の目から逃れて"自分探しの旅"に出るという物語なのです。

ストーリーだけみると、新味のない物語であるようにも思えますが、ところがどうして、これがひと癖もふた癖もある小説で、物語は思わぬ方向にどんどん進んでいくんですね。

登場人物はそう何人もいません。冒頭で主な登場人物として主人公をはじめ、七人の名前が挙がっていますが、被害者を除けば本当にこの七人しかいないのです。

街頭詩人の巨漢・ズールーをはじめ存在感豊かな脇役が多いとはいうものの、膨大な登場人物が出てくる最近の小説に比べて、極端に少ないほうだと思う。にもかかわらず、この小説は単調どころか色彩感にあふれる物語になっているんですね。

それは、なぜかと考えてみると、まず物語の舞台となっているニューヨークのホームレスの生態が、実に生々しく描かれているからなんですね。

"ボーン"は、宿無しの浮浪者として覚醒するのですが、そのディテールが見事に活写されて、実に見事です。しかし、この小説に色彩感を与えているのは、後半の冒険譚で明らかになる、もうひとつのニューヨークなのだと思う。

ニューヨークという大都会が、全く新しい角度から鮮やかに描き出されるのです。サスペンスもたっぷりあるが、読み進むうちに私の前に展開する"もうひとつのニューヨーク"が何より新鮮なのです。



    dreamerさんの読書レビュー 「ボーン・マン (文春文庫)」 | 読書ログ

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