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最後の1分

著者: エレナー・アップデール

評価: 4.0

読了日: 2014/12/31

投稿日: 2019/12/03

【斬新な設定で描く意欲作】
 物語の中では、様々な長さの時間が描かれます。
 それは、時によっては何代にも渡る100年超の期間のこともあるわけですが、本書一冊の中で描かれる時間はわずか1分間だけです。
1章が1秒という大変斬新な設定を採用した作品なんですね。

 ストーリーは、というと、ヒースウィックという街を舞台にした多重爆発事故(+テロ?)を描きます。
 折から、この街の幹線道路ではガス工事が行われていて車線が規制され、大渋滞が発生しています。
 そんな街の様々な人々が多重爆発事故に巻き込まれてしまうまでの過程を描いているんですね。

 本当に様々な人がいます。
 教会の屋根を修理するための募金のお金の集まり具合を看板に描いている年老いたペンキ職人、演劇鑑賞会に向かう途中のスクールバスの中で騒ぎまくっている生徒とお手上げ状態になっている女性教師、不倫相手と泥沼状態に陥り妻を何とか誤魔化そうとしている議員、教会で行われる葬儀の参列者、「タイショー」と呼ばれる一人漫談をして小銭をねだるホームレス、まったくついていない不運の塊のような就職活動中の学生etc。
 それぞれの人が刻一刻と事故に巻き込まれる道を歩んでいくんですね。

 筆者は、非常に短いフレーズで、多くの人々の様子を描写します。
 それは、混乱の極みに陥っていたり、もうやることなすこと上手くいっていなかったり、ややこしい状況にまきこまれていたりと、人それぞれなんですが、どんどん先を読ませます。
 
 物語の最後には事故から6か月後という設定で、一体どういう事故だったのかが振り返られるのですが、実は今ひとつ不明な点も多々あるんですね。
 あの男は一体何者だったのだろうか?とか、やはりテロということだったのだろうか?とか、読者にも明かされない謎は残されたままです。

 まぁ、とにかく1分間という短い時間の中で結構ハラハラさせられる作品になっています。
 一気読みに最適!


    ef177さんの読書レビュー 「最後の1分」 | 読書ログ

    プロフィール
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    幻想文学、ミステリ、SF、美術なども含めて怪しいものが大好きです。
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