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月の山脈と世界の終わり〈上〉 (大英帝国蒸気奇譚3) (創元海外SF叢書)

著者: マーク・ホダー

評価: 4.0

読了日: 2016/03/28

投稿日: 2019/11/08

【これは順番に読まなきゃだわ】
 『バネ足ジャックと時空の罠』、『ねじまき男と機械の心』に次ぐ、『大英帝国蒸気奇譚』シリーズの第三作目です。
 それぞれの話は一応独立はしているのですが、これはシリーズ物というよりも三部作として読む方が正しいですね。

 本作ではバネ足ジャックのことや、2作目で物語の鍵となった黒いダイヤモンド『ナーガの目』が重要な意味を持ってくるので、前作を読まずにいきなり本作から読み始めるとわけが分からなくなります。
 これはどうしても第一作から順に読んでいくしかないですねぇ。

 また、1作目、2作目の内容にある程度踏み込んでいかないと本作のレビューも書けないので、まだ未読だという方は以下の部分はご注意下さいね。

 まず、『バネ足ジャック』とは何者だったのかという点からおさらいです。
 『バネ足ジャック』は、未来からやって来たタイム・トラベラーでした。
 で、このタイムトラベルを可能にするスーツに埋め込まれていたのが未来で発見された『ナーガの目』と呼ばれる黒いダイヤモンドだったのです。
本来、『ナーガの目』は未来において初めて発見されることになっていたのですが、バネ足ジャックが過去にやって来てしまったため、過去にあるまだ発見されていない『ナーガの目』が共振してしまい、本来の史実よりもずっと早く発見されてしまったのです。

 この『ナーガの目』には、人の心に対して強い影響を与える力が秘められており、この力を巡って第2作で描かれたティチボーン家の相続騒動が勃発したわけですね。

 そして、この『ナーガの目』の力に注目したのがイギリス首相だったのです。
 首相は、大英帝国の版図を拡大するため、この力を利用しようと考え、王の密偵であるリチャード・バートンにアフリカに行って『ナーガの目』を探し出せと命じたのです。
 というわけで、本作の一つの筋は、バートン一行のアフリカでの探検物語になります。

 これと並行して描かれるストーリーがあるのですが、こちらは何故そんな状態になっているのかがよく分かりません。
 というのは、バートンが未来社会にタイムトラベルしてしまっているのです。
 そこではイギリスとドイツが戦争中でした。
 バートンは、何故自分がタイムトラベルしているのか、未来で何をすべきなのかが全く分からない状態で正気付くのです。
 どうやら記憶が欠落してしまっているようです。
 バートンは、戦場で従軍記者をしているH・G・ウェルズと出会い、行動を共にすることになります。

 なお、ドイツはとんでもないことになっているようです。
 覇権を握ったのは、何とニーチェなんですね。
 で、ニーチェは『超人類』の思想を追求し、ドイツ兵を異形の姿に変えていたのです。
 それは植物と合体しているような存在だったり、人狼だったり。

 そう、この作品のウリの一つは、優生学者や機械主義者が生物を改造するなどして奇妙奇天烈なものを作り出しているという点が挙げられます。
 本来、そんなおぞましい物は作られるはずではなかったのですが、バネ足ジャックが過去に戻ってきたことにより、歴史が歪められ、何とも奇妙なスチーム・パンク世界が生まれてしまったというのです。

 本作でも、巨大に成長させた蟹やザトウムシの内部をえぐり出し、そこに機械を仕込んでグロテスクな乗り物を作り出したりしています。
 戦場では英独双方がそれぞれ奇怪な生物兵器(?)を繰り出すなどかなりエグい状態になっています。

 さて、上巻の段階ではまだ多数の謎が残されており、この先どう展開するのかがなかなか読めないのですが、スチーム・パンクが好きという方にはお楽しみ頂ける作品になっていると思います。
 下巻を読了したらまたレビューをさせて頂きます。


    ef177さんの読書レビュー 「月の山脈と世界の終わり〈上〉 (大英帝国蒸気奇譚3) (創元海外SF叢書)」 | 読書ログ

    プロフィール
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    幻想文学、ミステリ、SF、美術なども含めて怪しいものが大好きです。
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