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ジヴェルニーの食卓 (集英社文庫)

著者: 原田 マハ

評価: 4.0

読了日: 2013/07/11

投稿日: 2019/06/12

【マティス、ドガ、セザンヌ、そしてモネ】
 何と瑞々しい作品でしょうか。
 本書には、誰でもが知っている高名な画家をモチーフにした4編の短篇が収録されています。
 マティス(とピカソ)/「うつくしい星」、ドガ/「エトワール」 、セザンヌ/「タンギー爺さん」、モネ/「ジヴェルニーの食卓」です。

 「うつくしい星」では、マティスに仕えたメイドが年老いてからフィガロのインタビューを受け、マティスとの日々を回想するという構成。
 「エトワール」では、ドガと同時代を歩んだアメリカの女流画家が、ドガとの思い出を回想するという構成。
 「タンギー爺さん」は、まだ芽が出ない無名の画家達に愛情を注ぎ、ほとんど無償で絵の具などを提供し続けた愛すべき画具商(後に、画家達がお代の担保として置いていった絵画をも扱う画商ともなりましたが)タンギーの娘さんからセザンヌに宛てて書いた手紙という構成。
 この作品では、中心となるのはセザンヌですが、その他にもタンギー爺さんの店を訪れるいずれ巨匠となる画家達(ゴッホやゴーギャンその他)も登場します。
 「ジヴェルニーの食卓」は、モネと共に生涯を暮らした助手(時にモデル)となった女性が、モネの最晩年に描いた睡蓮を中心として、モネとの生活を回想するという構成。

 著者の文体は大変美しく、瑞々しいものです。読んでいてハッとさせられる描写がいくつもありました。
 これは、実話……なのだろうか?と思いながら、読了後、奥付を見ていたところ、沢山の資料を基にしているのだから実話の部分が相当にあるのだろうし、何よりも、著者はキュレーターではないですか。
 最後の方に、「本作は史実に基づいたフィクションです。」と小さな文字で書かれているページがありました。

 生前に評価を受けることができる画家はごく一握りしかいないのだと、どこかで読んだことがあります。そうでしょう。ピカソやモネなどは非常に希有な例なのだろうと思います。
 多くの巨匠は、生前はまったく理解されることなくその人生を終え、死後、それなりの時間が経過することによって、ようやく世の中がその巨匠に追いつくことができ、評価されるようになるのでしょうね。
 ですから、そういう未来の巨匠が無名であるころから、その作品の魅力に気づき、支援し、愛することができた、本作に登場するような人たちというのはそれこそ本当に稀な存在なのだと思います。
 もちろん、その陰には、同じように、未来の巨匠となることを信じて寄り添ったけれど、結局いつまで経っても評価されることなく終わってしまった、巨匠達の何倍もの数の無名の芸術家達もいるのです。

 私は、美術にも興味があることから、大変面白く読ませて頂きました。もちろん、美術に興味が無い方にも、何かを成し遂げた人びとと、そのそばで生きた人の記録として十分に楽しむことができる作品だと思います。


* 初めて原田マハさんを読んだ時のレビューです。


    コメント

    原田マハさんの美術関係の小説が大好きで、この本もとても興味がありました。
    さすが、キュレーターをされていただけあって、他の作家さんではなかなかかけない描写、設定ですよね。

    2019/06/12 by taiaka45

    私もマハさんのアートをテーマにした作品(エンタメ度を押さえたもの)は大好きです。

    2019/06/12 by ef177

    ef177さんの読書レビュー 「ジヴェルニーの食卓 (集英社文庫)」 | 読書ログ

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    ニックネーム:ef177
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    レビュー件数: 205 件

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    幻想文学、ミステリ、SF、美術なども含めて怪しいものが大好きです。
    ご紹介ベースのレビューが基本ですが読んで頂けたらうれしいです。

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