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日の名残り

著者: 土屋政雄 , カズオ・イシグロ

出版社:早川書房 (2001/05)

評価: 3.0

読了日: 2015/06/25

投稿日: 2019/09/12

【一流の執事というものは……】
 イギリス以外の国には召使いはいるが、執事はいない。
 これは作中に出てくる言葉です。
 本作は、一流の名家であるダーリントン・ホールに執事として勤めた、主人公スティーヴンスの物語です。

 一家の主ダーリントン卿は3年前に他界し、屋敷は現在アメリカ人の富豪の持ち物になりました。
 新しい家主は、イギリスの一流の執事を所望したため、スティーヴンスも屋敷に残ったのすが、屋敷を去る使用人も多くいました。
 時代が変わった今では(1956年が本作の時代になります)優秀な使用人を得ることは困難だということで、少ない人数で屋敷を切り盛りすることになったのですが、いかんせん人手不足は否定できません。

 ある時、新しい主人から、「しばらくアメリカに帰るから、その間スティーヴンスも旅行でもしてくれば良い」と言ってくれたことを機会に、スティーヴンスはある計画を立てます。
 それは、かつてダーリントン・ホールに努めていた女中頭を再度屋敷に呼び戻そうというものでした。

 主人が貸してくれた車に乗り込み、この計画の実行に着手するスティーヴンス。
 本作は、旅行の過程での、スティーヴンスの執事論、回想録といった内容になります。
 優れた執事たるものこうあるべきであるという話が主となりますので、一風変わった内容の作品になっています。

 ダーリントン卿は、ナチス・ドイツ・シンパであるということで、かなり批判もされているのですが、卿を尊敬してやまないスティーヴンスは、それは誤解であり、真実は違うのだと力説します。
 そして、その様な素晴らしい主人に仕えられたことは執事として大きな幸せであり、自分は一流の執事として常にベストを尽くしてきたのだと自負しています。

 しかし、物語のラストでは……。

 一人称で淡々と語られる執事の回想録であり、何か大きなできごとがあるという作品ではありません。
 英国執事とはどういうものなのかを得意気に語るスティーヴンスの語りを負う作品ですが、最後の最後でもの悲しさを味わうことになるでしょう。

 本作は、アンソニー・ホプキンス主演で映画化もされたそうです。
 見てはいませんが、おそらく静かな渋い映画になったのではないかなと想像しちゃいます。


    ef177さんの読書レビュー 「日の名残り」 | 読書ログ

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    幻想文学、ミステリ、SF、美術なども含めて怪しいものが大好きです。
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