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世界の中心で愛を叫んだけもの

著者: ハーラン・エリスン

出版社:早川書房 (1979/01)

評価: 4.0

読了日: 2017/08/12

投稿日: 2017/08/12

全15篇の短編を収めた一冊です。

全編を読み終えて感じたのは、愛への飢餓でした。
心のどこかで愛されることを求めつつも、建設的に愛することはしない。
そんな人々が構成する世界では、その欲求は満たされない。
・・・といった印象です。

暴力、薬物、無法状態、ディストピア、諦め、そんなエッセンスが散りばめられた、半ば退廃的な空気の漂う世界観で、多くの主人公は感情に任せて本能的に行動します。読み手としては、やけっぱちな主人公の感情には共感しつつも、その行動選択には同意しかねるな、と思いながら読み進めました。サリンジャーの「ライ麦畑で捕まえて」を読んだときの感覚に少し似ているでしょうか。でも、ホールデンよりは成熟した、もっと擦れた主人公たちですが。

暴力的に、突然に、無慈悲に物語が展開していくスタイルは、ワルツさんの書評にもあるように、私も舞城王太郎氏の作品を思い出しました。ただ、そこにあるのが単に冷笑的な態度でなく、愛を求めているのにそれが叶わない、故に仕方なくこうなってしまう、という悲哀のようなものをどことなく感じさせる点で、スタイルは似ていても内容的に異なるという印象をうけました。

各短編はどれもページ数に見合わないほど重みがあり、読むと疲れます。特に、表題作でもある「世界の中心で愛を叫んだけもの」は難解です。が、この物語だけを3周くらい繰り返し読むと、なんとなく伝わってくるものがあります。それをここに言葉で書き下そうとするのはナンセンスなので、是非一度(いや、三度)読んでほしいですね。
 お気に入りは最後に収録されている「少年と犬」です。”愛って何か知ってる?”という問いかけが、最後に心の中に残ります。また、全部を読み終えた後に、再度まえがきを読むことをおすすめします。(このまえがきは、最初に読んでも何を言っているのか本文もわからないので。)


    空っぽの殻さんの読書レビュー 「世界の中心で愛を叫んだけもの」 | 読書ログ

    プロフィール
    ニックネーム:空っぽの殻
    本棚登録件数: 17 冊
    レビュー件数: 3 件

    自己紹介:
    古典SFと心理学系が最近のマイブーム。
    小さい頃はファンタジー小説が大好きでしたが、大学の学部時代はアニメに傾倒してしばらく本を離れていました。アニメ「PSYCHO-PASS」の登場人物、槙島聖護の「紙の本を買いなよ。」というセリフに感化され、槙島先生推薦図書を中心にスローペースながら趣味の読書を再開しました。

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