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砂の女

著者: 安部公房

出版社:新潮社 (2003/02)

評価: 評価なし

読了日: 2018/07/11

投稿日: 2018/07/11

2018年7月の課題図書。

砂、砂、砂・・・もう、耳から砂がこぼれ落ちそうになるくらい、砂の描写が続きます。

昭和37年とはいえ、古臭いというものが一切ないのは、今、こうして50年以上経って初めてわかる事です。言葉使いが全く古びていないし、難しい漢字を一切使っていません。

昆虫採集の為に砂丘にやってきた教師の男。
砂の村に捕まり、1人の女と一緒に砂かきを延々とする事を強いられる。

最初は困惑、そして怒り、逃避、諦め・・・男の心理が荒々しくかつ正確に語られる。
そして、砂まじりの生活を共にする「女」

女が従順なような、薄気味悪いような、ねっとりしているような、と思うと妙に親切だったり、親身になったり、よくわからない。
このよくわからない、というのが実は怖い。

そして、もう一つ怖いのは、なかなか姿を見せない「村の人たち」
男と女をいつも見張っていて、観察していて、生かさず殺さず、砂かきをさせる。

 読んでいくと、教師をしている男も普段の生活に満足している訳ではなく、「砂を噛むような思い」をしながらの生活の中で、楽しみが「新種の虫を見つける」という事でした。

 単純だが、同じような作業をしなければならないのは苦痛ですが、いつ終わりになると先が全く見えないのはもっとつらいのです。

 男は怒り、脱走しようとします。そんな怒りも砂に水が染みていくように受け止めて何も言わない女。日々の生活とは、同じ事の繰り返しで、子供、若い頃は新鮮な事もだんだんルーティンワークをこなしているような人が今でも、いや、今だからこそ、多いのではないでしょうか。

 そして、先が全く見えないという不安。自分は殺されてしまうのか?生きていけるのか?作者はあえて主人公を究極の立場に立たせます。

 普通の人は、休みの日があったり、趣味があったり、息抜きがあったりするわけですが、それを奪われてしまったら?いつでも今の世界、あやうい綱渡りをしているのではないか、そんな事を思いました。


    コメント

    課題図書、今読んでいるところです。
    全身どころか口の中まで砂だらけな気持ちになっています。笑

    >だんだんルーティンワークをこなしているような人が今でも、いや、今だからこそ、多いのではないでしょうか。
    たしかに!
    仕事で不満があっても、ルーティンワークをこなしていくうちに、不満よりもその場にとどまることが良いように思い始めていくかんじ。この物語と通じますね。

    2018/07/12 by あすか

    あすかさん

    本当に読んでいて口の中までじゃりじゃり、ですよね。
    でも、明快な文章だと思います。

    年とるとね、変化より安定をどうしても求めてしまいますね。
    男の砂かき生活が安定か、というとそうでもないけど、もう選ぶ道なし、って不条理のような日常のような。

    2018/07/12 by 夕暮れ

    夕暮れさんの読書レビュー 「砂の女」 | 読書ログ

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    自己紹介:
    はじめまして、夕暮れです。
    趣味は、読書の他に映画が大好き。
    最近、車の運転を始めたので車関係の本なども読みます。
    7月17日から20日まで夏休み。旅行に行くので読書ログもお休みします。

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