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開かせていただき光栄です

著者: 皆川博子

出版社:早川書房 (2013/09)

評価: 評価なし

読了日: 2018/06/13

投稿日: 2018/06/13

 表紙の絵、装丁が美しいのがまず、一番の印象です。
赤といってもこの赤は完全に血の色でしょう。そして身体を解剖された一見グロテスクな絵も繊細で美しく、解剖されている人の顔は完全に恍惚状態。
また、本にも見立てられていて非常にすぐれた表紙絵と装丁です。

 舞台となるのは18世紀のイギリス。
混沌としたロンドンでの私設解剖室の解剖から話は始まります。

 まだまだ人体解剖というものが、未知の領域であり、それは宗教的な観点から邪悪とされている時代の解剖医、ダニエル・バートン医師と若い5人の弟子。

 解剖する死体は、こっそりと買いとらなければならない。医学の為に、犯罪医学の為に、解剖はそして標本は必要なのだ、とどんなに説いても世間の目は冷たい。

 同時に語られるのは詩人をめざしてロンドンに来た17歳の少年、ネイサン。
ネイサンはダニエル医師の弟子の中で特に愛弟子のエドワード・ターナーとナイジェル・ハートと知り合いになります。

 そんな時、解剖室に、解剖ではない死体が2つも出てくる。両手両足を切断された少年の死体と顔がつぶされた男の死体。

 そこで、治安判事、盲目であっても聴覚と嗅覚で真偽を見極めると言われるサー・ジョンとその姪であるアンが、捜査に乗り出します。

 日本人が18世紀のロンドンの話を書くというのは、藤本ひとみさんなど、前例はあるのです。

 しかしやはり翻訳ものとは違う、どこか日本的な清潔感のようなものがありますので、題材は解剖であるとか殺人であるけれど、抑えに抑えた部分がとても大きいのでそんなに嫌悪を感じる事はありません。
 
 読んでいて思い出したのは、池田理代子の名作漫画『ベルサイユのばら』ですね。
または、美少年の弟子などは萩尾望都の『ポーの一族』(エドガーとアラン)、『トーマの心臓』(ユーリ、トーマ、オスカー)のあの日本の少女漫画でありながら独特のヨーロッパ世界を描いた漫画。

 事件の迷走ぶりとさらなる事件の発覚、ネイサンの持参した古い詩編の真偽の行方など内容もりだくさん。しかも、迷走する事件に対して、今度は自分がやりました、という自白合戦となりどういうことだ?というかなりきめの細かいミステリ小説で、余韻を残すラストとなっています。


    夕暮れさんの読書レビュー 「開かせていただき光栄です」 | 読書ログ

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    はじめまして、夕暮れです。
    趣味は、読書の他に映画が大好き。
    最近、車の運転を始めたので車関係の本なども読みます。

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