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ブラック・スキャンダル (角川文庫)

著者: ディック・レイア, ジェラード・オニール

評価: 4.0

読了日: 2019/05/08

投稿日: 2019/05/08

2018年10月30日の早朝、アメリカ・米ウェストバージニア州
ヘーゼルトン連邦刑務所内で、ある囚人が死亡しているのが発見
された。

ジェームズ・”ホワイティ”・バルジャー、89歳。FBIの十大指名手配
犯に名を連ねたボストンのアイルランド系ギャングのボス。16年間の
逃亡の末に逮捕され、恐喝・麻薬取引。殺人などの罪状で2回の終身刑
と懲役5年の判決を受けて服役中だった。

発見された遺体は顔が判別できないほど殴打され、眼球は抉り出され
ていた。バルジャーを殺害したのは、2人の囚人だと言う。

ギャングのボスだったとはいえ、高齢の受刑者が何故、暴行の末に
殺害されたのか。それは彼が「密告者」であったから。

バルジャーとFBIボストン支局の20年以上に渡る「ただならぬ関係」
を追ったのが本書だ。

イタリア系マフィアの撲滅にFBIが重い腰を上げた頃、ボストン支局
にはバルジャーと同じサウス・ボストンで育ち、幼い時からバルジャー
と顔見知りだったジョン・コノリーが在籍していた。

手柄を上げたいコノリーと、ライバルであるイタリア系マフィアの
勢力を殺ぎたいバルジャー。ふたりの野望が合致した。そして、そ
こからFBIボストン支局の腐敗が始まった。

コノリーは上司や部下まで巻き込んで密告者であるバルジャーの
保護者となる。しかし、バルジャーは必ずしも有力な密告者では
なかった。それどころか、コノリーたちが自分を必要としている
ことを逆手にとって、ライバルの殺人までをも犯している。

「毒を食らわば皿まで」なのか。コノリーは市警察・州警察や
麻薬取締局の捜査がバルジャーに及びそうになると情報を与え、
証拠隠滅・逃亡の手助けをしている。

何度も捜査線上に名前が上がりながら、すんでのところで手の中
から逃げて行くバルジャー。FBI以外の捜査機関の労力を考える
と気の毒でならない。

捜査機関だけではない。バルジャーからの恐喝に脅え、救ってくれ
るであろう捜査機関に駆け込んでも、その情報がバルジャーに筒抜け
になってしまい、一層に命の危険を感じるようになる。

嘘の上塗りを続け、コノリーはFBI内で出世を果たし、バルジャーは
イタリア系マフィアの弱体化に成功しボストンの裏社会の支配者と
なった。

しかし、嘘はいつしか表面化する。コノリーはFBIでの虚飾の実績を
引っ提げて民間会社の顧問となり、バルジャーも高齢になってから
それまでの悪事の数々で法廷に立つ羽目になった。

そうして、バルジャーの凄惨な死である。

本書ではバルジャーの死までは描かれていないが、ギャングと捜査
機関の癒着が引き起こした事件のえげつなさに戦慄する。

ただ、登場人物の多さとアメリカのノンフィクションにありがちな
綿密過ぎる描写、加えて日本語訳の硬さで読むのに若干苦労した。

別タイトルで発行された作品なのだが、2015年の映画公開に合わせ
タイトルを変えて発行された。映画ではバルジャーをジョニー・デップ
が演じており、予告編を見ただけでも悪さが伝わって来た。

だが、本物のバルジャーの方が底なしの悪である。


    sashaさんの読書レビュー 「ブラック・スキャンダル (角川文庫)」 | 読書ログ

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