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Black Box

著者: 伊藤 詩織

評価: 5.0

読了日: 2017/11/14

投稿日: 2017/11/14

被害者も落ち度があった。性犯罪という恐ろしく辛い体験をした被害者
に対して、容赦なくこんなことを口にする人たちがいる。言っている本
人にそんな意識はないのだろうが、これはセカンド・レイプに他ならない。

本書は就職の相談をしていた相手にレイプされながらも、堂々と記者会見
を行った著者による、事件までの経緯とその後、そして性犯罪の被害に
遭遇した人を待ち構える更なる試練、すべて晒した上で性犯罪の被害に
あった人をサポートする体制の必要性を論じている。

著者自身の事件については政治的な方向に話が膨れてしまい、ネット上では
本質がすり替えられてしまっている感がある。本書では相手とのメールの
やり取りこそ掲載されているが、それは事実関係を追うのに必要であったの
であり、相手を糾弾したいがためのものではない。

そもそも「準強姦」なんて呼び方自体がおかしいのだと思う。どのような
状況であっても被害者の合意を得ぬまま行為に及んだら、それは強姦だ
ろうと思うのだ。

ただ、この「合意」と言う点に関しても加害者が圧倒的に有利なのだと
感じる。「はっきりNoと言わなければ合意があった」とか、「死ぬほど
抵抗しろ」とかね。できるかよ、ぼけっ!と思うのよ。

痴漢被害だって被害者は体がすくんで声を上げることさえ出来ないって
現実がある。加えて警察で繰り返し聞かれる被害の状況、裁判になれば
またもや辛い体験を思い出しながら、衆人環視のなかで話をしなくては
いけないのだ。

だから声を上げる人がためらってしまう。自分の胸のうちの納めておけば
いいと思ってしまう。そうして、深い傷を抱えながら生きている人は多く
いると思う。

被害者が更なる被害にあう。そんな性犯罪に対して一石を投じる作品だ
と思う。

一応、著者の事件については気になる記事は追っていたのだが、逮捕当日
に逮捕自体が見送りになるって本当に不可解で理不尽な事件だと思うわ。


    sashaさんの読書レビュー 「Black Box」 | 読書ログ

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