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イノセント・デイズ (新潮文庫)

著者: 早見 和真

評価: 5.0

読了日: 2019/03/15

投稿日: 2019/03/15

※ネタバレあり

田中幸乃、30歳。元恋人の家に放火して妻と1歳の双子を殺めた罪で、彼女は死刑を宣告された。

あらすじだけ見れば、小説としてはなんとなく陳腐で、現実に起きたとしたら1週間は世間を騒がせるんだろうなぁ、という印象。

そんな思いでプロローグを読み始める。

プロローグは田中幸乃の死刑宣告の場面から始まる。

覚悟のない十七歳の母のもと─。
義父からの激しい暴力にさらされて─。
中学時代には強盗致傷事件を─。
罪なき過去の交際相手を─。
その計画性と深い殺意を考えれば─。

反省の様子はほとんど見られず─。
証拠の信頼性は極めて高く─。

主文、被告人を死刑に処する─。


…プロローグのあとは、田中幸乃という人物を様々な人の目線から見ていく構成になっている。

母親のこと、幼い日の頃、中学時代、社会に出てから、そして事件後。

不思議なのは、読み進めていくうちに、田中幸乃の純粋さを知らされていくことだ。
子供の頃に色んなタイミングが悪かったせいで、必要としてくれる人から捨てられる恐怖を知った幸乃。

その恐怖はどんどん強くなり、比例して自分を必要と言ってくれた者への依存度も強くなっていく。

各登場人物達の心の葛藤もとても繊細に描かれていて、いちいち自分の心の暗いところを刺激してくる。
人の心って、こんなに脆くて卑怯で、そしてすごく自分勝手なものなんだなぁと痛感する。

結局、ほとんどの人間が幸乃という人物を利用して自分の心の在り方を見つけているだけ。
唯一幸乃の事を信じていた彼も結局はその1人だと思う。

そんなこともあり、幸乃の最後の場面を読んで、「あぁ。良かった」と思った。

彼女が、子供の時のように頑固に自分の意志を貫いたのだから。
彼女が、死ぬために初めて持病に抗って生きたのだから。

何が正しかったのかは全然分からないけど、こういう結末で良かったのかもしれない。

…もう何が言いたいのか自分でも分からなくなってきたけど、本書は本当に人にお勧めしたい一冊。
読者は田中幸乃という人物に、そして自分の心に何を感じるのか。


…てか分類はミステリーなのね。
日本推理作家協賛賞を受賞しているらしい。
正直、本書の良さはミステリー要素ではないと思うのだけど。


    コメント

    レビュー拝見させて頂いてちょっと辛め?重めの話の様ですが読みたくなりました!

    >そんなこともあり、幸乃の最後の場面を読んで、「あぁ。良かった」と思った。

    こういう救いが最後にあるのが良いですね。
    重い話の中に一筋の光が示されていると読み続けて良かった~と思えるのでちょっと自分が最後読み終えたときどう思うか、私、気になります!笑

    >…てか分類はミステリーなのね。
    日本推理作家協賛賞を受賞しているらしい。
    正直、本書の良さはミステリー要素ではないと思うのだけど。

    こういうことも読み終えて「ん??」と思うときありますね。
    いやいやいや・・そこは違うでしょ!と何度心の中で突っ込んだか・・・笑
    まあ、それも、読書の醍醐味なのかもしれませんんね°゚°。。ヾ( ~▽~)ツ

    2019/03/15 by 澄美空

    澄美空さん、コメントありがとうございます!
    僕は幸乃の最後は救いだと思いましたが、他の方のレビューを拝見させて頂くと、後味が悪いようです(笑)
    それでもよければぜひ(笑)

    本というものに分類をするのはどうかと思いますが、本書ももれなく大人の事情により分類された類なのかと諦観しております(笑)
    まぁ結局個人の解釈なので醍醐味なのかもしれませんね。
    あまり風評に惑わされないようにしたいです。

    2019/03/16 by 豚の確認

    豚の確認さんの読書レビュー 「イノセント・デイズ (新潮文庫)」 | 読書ログ

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    ニックネーム:豚の確認
    本棚登録件数: 200 冊
    レビュー件数: 201 件

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    なぜ、自分は本を読むのだろう。
    きっと、自分の知らない自分に会うためなのかもしれない。
    と、偉そうに言ってみたものの、読書量はそんなに多くないです。

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